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東京地方裁判所 昭和59年(ワ)5276号 判決 1987年3月23日

原告

株式会社萬富

右代表者代表取締役

小山冨士夫

右訴訟代理人弁護士

吉川孝三郎

坂本隆

被告

株式会社富士養老の滝

右代表者代表取締役

石井正男

右訴訟代理人弁護士

圓山潔

阿部博道

主文

一  被告は、原告に対し、原告から金一億八〇〇〇万円の支払いを受けるのと引換えに、別紙物件目録記載(二)の建物を収去し、同目録記載(一)の土地を明け渡せ。

二  被告は、原告に対し、金一二九万三七〇〇円及び別表(二)「元金」欄記載(1)ないし(13)の各内金について、同表「利息起算日」欄記載の各対応日からそれぞれ完済に至るまで年一割の割合による金員を支払え。

三  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用はこれを二分し、その一を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。

五  この判決は、第二項にかぎり、仮に執行することができる。

事実

一  当事者の求めた裁判

1  原告

「被告は、原告に対し、別紙物件目録記載(二)の建物を取去して、同目録記載(一)の土地を明け渡せ。被告は、原告に対し、金二七五万九一八五円及びそのうちの別表2『元金』欄記載の各金額に対する同表『利息起算日』欄記載のそれぞれの日から完済に至るまで年一割の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言。

2  被告

「原告の請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決。

二  当事者の主張

1  原告の請求原因

(一)  原告は、被告に対し、別紙物件目録記載(一)の土地(以下「本件土地」という。)を、普通建物の所有を目的とし、昭和四一年一月一日までの約定で賃貸していたが、右同日、借地法四条一項に基づく被告の請求により、右土地についての原・被告間の賃貸借(以下「本件賃貸借」という。)が更新され、現に被告は、その土地上に前記物件目録記載(二)の建物(以下「本件建物」という。)を所有して同土地を占有使用している。

(二)  しかしながら、本件賃貸借は、本件建物の朽廃によりすでに終了しているものというべきである。すなわち、前記のとおり更新された本件賃貸借については借地法五条一項により同法二条一項但書の規定が準用されるところ、本件土地上の本件建物は、建物としての外観こそ維持しているものの、それは、原告が異議を述べたにもかかわらず、被告があえて強行した昭和四五年の大修膳の結果によるものであり、右大修膳がなければ当然に朽廃していることが明らかであるから、右法条の適用上、本件建物はすでに朽廃したものとみなされなければならない。

(三)  仮に本件建物が朽廃していないとしても、本件賃貸借の期間は昭和六一年一月一日をもつて満了したものであるところ、原告は、被告に対し、昭和五九年五月三〇日送達の本件訴状により、右期間満了後に被告が本件土地の使用を継続することについて、あらかじめ借地法六条一項所定の異議(以下「本件異議」という。)を述べ、その後も引続きこれを維持しているが、右異議に関しては次のとおり正当の事由があるから、本件賃貸借は前記期間の満了に伴い終了した。

(1) 原告は、東京都中央区日本橋室町に所在するビルの一室を賃借し、ここに本社を置いているが、主として江東地区において不動産賃貸業等を営んでいる関係上、江東地区に本社ビルを所有することを必要としているところ、右本社ビルの建築が可能な原告所有地は、本件土地及びこれに隣接する別紙物件目録記載(三)の土地(以下「本件隣地」という。)のほかには存在しない。そこで、原告は、昭和四五年ごろから本件土地及び本件隣地を敷地として本社ビルを建築することを計画し、昭和五四年には他に賃貸中であつた本件隣地の返還を受け、右建築についての準備を進めてきたものである。なお、本件隣地は狭あいで、それだけではビル建築用地としての用のなさず、本件土地と一体化してはじめて右建築用地としての効用を発揮しうるものである。

(2) 前記(二)のとおり本件建物は本来ならばすでに物理的にも消滅しているものと考えられるのみならず、被告は、原告の後記各賃料増額請求についても極めて不誠実な対応に終始し、従前の賃料ないし恣意的な判断に基づく低額な賃料を供託しただけであり、その供託額は、ときには本件土地に対する固定資産税、都市計画税の額にも満たないほどのものであつた。

(3) 被告及び訴外養老の滝株式会社(以下「訴外会社」という。)、その他被告と実質上同一法人ともいうべき関連会社で構成される企業グループは、飲食店業としては全国有数の営業規模を誇り、各地に多数の不動産を所有しているところ、本件土地上の本件建物は、被告が経営する数多くの店舗のうちの一つにすぎず、右のような被告ないし関連会社の営業状態、資産規模等に照らせば、被告が他に本件土地・建物に代る不動産を求めることは極めて容易である。

(4) 仮に叙上の事情によつては末だ本件異議についての正当事由が具備されていないとしても、原告は、右正当事由の補完として、被告に対し、相当額の立退料を支払う意思を有するところ、右相当額として、昭和六〇年三月一一日の本件口頭弁論期日において四〇〇〇万円の提供を申し出で、更に昭和六一年一〇月一四日の口頭弁論期日において一億円の提供を申し出たが、一億円を若干超える程度の金額であれば支払いの用意がある。

(四)  本件土地の賃料は、昭和三四年三月二〇日、一か月八五〇〇円と定められて以来、改定のないまま推移していたが、その賃料について、原告は、被告に対し、別表(一)の⑤欄記載のとおりの各増額請求の意思表示をしたので、これにより、右賃料はそれぞれ同欄記載のとおり改定されたものである。したがつて、被告は、原告に対し、同表②欄記載の賃料債務を負担したにもかかわらず、被告は同③欄記載のとおりの弁済供託をしたにすぎず、昭和四一年一月一日から昭和五九年三月末日までの賃料総額と被告の供託金総額との差額は、同④欄記載のとおり合計二七五万九一八五円となるところ、原告は、賃料の一部弁済にあてるため、右供託金全額の還付を受けた。

(五)  よつて、原告は、被告に対し、次のとおりの請求をする。

(1) 本件建物を収去し、本件土地を明け渡すこと。

(2) 昭和四一年一月一日から昭和五九年三月末日までの差額賃料(賃料残額)合計二七五万九一八五円と、そのうちの昭和四一年から昭和五八年までの各年ごとの差額分である別表(二)「元金」欄記載の各金員に対する弁済期後の同表「利息起算日」欄記載のそれぞれの日から完済まで借地法一二条所定年一割の割合による利息金を支払うこと。

2  請求原因に対する被告の認否・反論

(一)  (認否)

請求原因(一)の事実は認める。

同(二)の事実は否認する。

同(三)の事実のうち、正当事由の存在を主張する部分はすべて争い、その余は認める。

同(四)の事実のうち、本件土地賃料がそれぞれ原告主張のとおり改定されたこと、及び右各改定があつたことを前提とする主張部分はいずれも争うが、その余は認める。

(二)  (反論)

(1) 本件建物は、昭和三四年に被告が前賃借人から本件土地賃借権の譲渡を受けた後、新築したものであつて、末だ朽廃の域に達していないことは明らかである。

(2) 被告は、原告の各賃料増額請求に対し、その都度、改定すべき額についての協議を申し入れていたが、原告は、これに応じなかつたばかりでなく、昭和四一年の賃貸借の更新に関し、三・三平方メートルあたり五万円の更新料を支払うよう要求し、かつ、被告が相当額と判断して提供した賃料の受領を拒絶したため、やむなく被告は右賃料を供託するに至つたものであり、不誠実といわれるべき筋合いはない。

(3) 被告は、京浜地区の八店舗で飲食店を経営しているが、本件建物はそのうちの中核的店舗として使用されているところ、同業他社との競争に打ち勝つためには大量仕入れによる廉価販売が不可欠である関係上、現時点で本件建物を失う場合に被告の被る営業上の打撃は極めて深刻である。

(4) 原告は、事務所用のビル、共同住宅を含む多数の不動産を所有し、賃貸しているものであり、そのなかから本件事務所を求めることは容易であるうえ、原告の役員、従業員は二〇名程度にすぎないから、本社における管理事務は現に使用中の事務所で十分可能であり、本件土地上にビルを建築する必要性は全くない。なお、原告は、前記のとおり多数の不動産を所有し、賃貸しているほか、二つの店舗でガソリンスタンドを営み、関連法人が自動車教習所、幼稚園を経営するなど、その資産、資力にはみるべきのがある。

三  証拠関係〈省略〉

理由

一(建物収去土地明渡請求について)

1  請求原因(一)の事実は当事者間に争いがない。

2  そこで、まず、請求原因(二)の原告の主張について検討する。

〈証拠〉によれば、本件建物は、昭和三四年に被告が前賃借人から地上建物と共に本件土地賃借権を譲り受け、同譲受けについて原告の承諾を得たうえ、右地上建物を取り壊し、そのあとに新たに建築したものであること、被告は、右建築後今日に至るまで本件建物を飲食店(大衆酒場)の店舗(以下、本件建物で営まれる店舗を「本件店舗」という。)として引続き使用しており、その間の昭和四五年には、営業上の必要から主として外装の模様替えを目的とした工事を施工したが、その際、土台、柱、梁等の建物の骨格部分には全く手を加えなかつたことが認められるところ、右認定の事実関係のもとにおいては、本件建物がすでに朽廃し、又は朽廃すべかりし時期が到来しているといえないことは明らかである。原告は、被告が昭和四五年に施工した工事が大修膳に該当し、これがなければ本件建物はすでに朽廃しているはずである旨主張するが、右主張事実を認めるに足りる証拠はない。

したがつて、前記請求原因(二)の原告の主張は理由がなく、採用できない。

3  次に、請求原因(三)の原告の主張について判断する。

(一)  本件賃貸借の期間が昭和六一年一月一日をもつて満了すべきところ、原告が、被告に対し、右期間満了後の本件土地の継続使用について、その主張のとおりの時期に、主張のとおりの方法で本件異議を述べ、これを維持していることは当事者間に争いがない。

(二)  そして、〈証拠〉を総合すると、以下の各事実が認められる。

(1) (原告側の事情)

① 原告は、不動産賃貸業等を営む会社であり、主として江東地区に数多くの宅地を所有し、約一〇〇名の借地人に賃貸しているほか、六階建ての倉庫・事務所、地下一階付八階建ての共同住宅、自動車教習所用の三階建て建物等を所有してこれらをいずれも賃貸し、また、都内二か所に給油所用の施設を所有して自らガソリンスタンドを経営しているものである。

② 原告は、右賃貸不動産の管理業務等に従事させるため、約二〇名の従業員を雇用しており、中央区日本橋宝町に所在するビルの一室を賃借し、ここに本店事務所を置いているが、右従業員の約半数は前記共同住宅の管理事務所に勤務し、本店事務所に常時勤務する者は八名程度である。

③ 原告は、本件土地及び本件隣地を敷地とするビルを建築し、前記本店事務所を同ビル内に移転することを計画し、昭和五四年ごろには本件隣地の賃借人から同地の返還を受け、右ビル建築に備えて空き地のままこれを管理している。

(2) (被告側の事情)

① 被告は、昭和二六年に矢満田富勝が同人及びその縁戚者を役員として設立した飲食店業等を営む同族会社であり、一時は約七〇店舗の飲食店(大衆酒場)を経営していたが、昭和三六年ごろ以降、右店舗(土地、建物の所有権ないし賃借権、及び営業に関する権限)の大部分を訴外会社並びに従業員等に移譲したため、現在、直接保有する店舗は、本件店舗のほか七店舗であり、それら店舗も実際の営業は訴外会社に委ねられている。

② 訴外会社は、昭和三六年に設立され、前記矢満田を筆頭株主とし、同人及びその縁戚者を役員に加えた資本金五〇〇〇万円の会社であり、被告保有の前記店舗を含む少なくとも約三〇か所の直営店のほか、一〇〇〇か所をはるかに超えるフランチャイズ店を擁し、それぞれ「養老の滝」の名称で飲食店(大衆酒場)を営んでおり、飲食店業としては全国有数の売上げを計上しているものである。

③ 被告及び訴外会社は、店舗として使用中のものを含めて各地に多数の不動産を所有しており、そのなかには、訴外会社所有の地下一階付六階ないし七階建て店舗用建物三棟等も含まれている。

以上のとおりの各事実が認められ、この認定を覆すに足りる証拠はない。

(三)  しかるところ、原告は、その事業の運営上、江東地区に「本社ビル」を所有する必要性がある旨を主張するが、それを必要不可欠とする具体的事情を認めるべき的確な証拠はない。のみならず、仮に原告の本店事務所を江東地区に移転する必要があるとしても、前記(二)の(1)認定の事実関係のもとにおいては、原告所有の他の不動産にこれを求めることも必ずしも不可能とはいいがたく、また、原告の業務の性格、従業員数等に照らし考えれば、本件隣地だけを敷地とする建物によつてもその必要性を満たすことができるはずであるから、結局のところ、原告が被告に対して本件土地の明渡しを求める意図は、本件土地及び本件隣地を一体として、その有効利用を図りたいというに尽きるものと推認せざるをえない。他方、被告は、本件店舗を失つた場合に被告の被る営業上の打撃が深刻である旨を主張するが、前記(二)の(2)認定の事実に、〈証拠〉をあわせ考えれば、被告と訴外会社は、被告が訴外会社の「管理部門」を、訴外会社が被告の「営業部門」をそれぞれ担当し、相提携して飲食店業等の事業を営む関係にあり、資本的にも強度の結びつきがあるものと推認されるので、この点にも着目すると、本件店舗を失うことによる営業上の打撃が被告主張のように深刻なものであるとはとうてい認めがたく、更に、被告及び訴外会社の営業規模、資産状況等からすれば、被告において本件店舗に代る物件を他に求めることもさして困難ではないものと推認できる。なお、原告は、本件異議にかかわる正当事由の一事由として、本件建物が朽廃し、又は朽廃すべかりし時期が到来したことと、原告の後記各賃料増額請求に対する被告の対応が不誠実であつたことを主張するが、右朽廃等に関する主張事実を認めがたいことは前叙のとおりであり、また、〈証拠〉によると、右各増額請求に対する被告の対応としてはおおむね被告の反論(2)に符合する事実が認められ、とりたてて被告に不誠実な点があつたことを認めるに足りる証拠はない。

(四)  してみると、「本社ビル」の敷地として、原告が本件土地を自ら使用する必要性がないとまではいえないが、高度の必要性があるものとも認めがたく、その程度は、被告が本件店舗を必要とする事情と径庭はないものといわざるをえない。

しかしながら、〈証拠〉によれば、本件土地は、国鉄亀戸駅の北方至近距離(徒歩一分)の飲食店等の多い商業地域に位置し、公法上の規制として、建ぺい率八〇パーセント、容積率四〇〇パーセント、第三種高度地区、防火地域の指定がある中層店舗ビルの適地であり、昭和六一年五月当時の更地価格は四億三四〇〇万円程度であつたことが認められるので、このような本件土地の地域環境、土地価格等にもかんがみると、本件土地の有効利用を図りたいという原告の意図には無理からぬ点があり、本件建物の敷地としての現状を更に長期間(特段の事情のないかぎり、次の更新時期である昭和八一年一月まで)維持させることは、原告にとつてやや酷に失するきらいがあるものというべきところ、〈証拠〉によれば、本件建物は被告の店舗としても手狭となるなど、すでに十分な効用を発揮しえない状態に立ち至つているため、被告においても本件建物を取り壊わしてビルに建て替えたいと希望していることが認められ、右認定に反する証拠はない。

(五) そこで、本件賃貸借の経緯及び期間、本件土地ないし本件店舗の必要性に関する原・被告双方の事情、本件土地の地域環境及び土地価格、並びに本件建物の現状、その他叙上認定説示にかかる事実関係のすべてを斟酌して考えれば、本件異議についての正当事由は、少なくとも、相当額の立退料の提供により補完しうる限度において、その具備を肯認することができるものというべきところ、原告において一億円ないしこれを若干超える程度の立退料提供の申出をしたこと等を主張する請求原因(三)の(4)の事実は、本件記録上明らかである。しかるに、前顕鑑定の結果と弁論の全趣旨によれば、昭和六一年五月当時の本件土地の更地価格は前記のとおり四億三四〇〇万円程度であるほか、本件土地の近隣地域においては、普通建物の所有を目的とする借地権価格を更地価格の七〇パーセント程度とする取引慣行があることが認められるので、これらの事情を本件に顕われたその他の諸般の事情にあわせ考えると、前記正当事由を補完するに足りる立退料としては一億八〇〇〇万円が相当と認められるが、この金額も原告が提供を申し出た立退料の範囲を超えるものではないと解することができる。

したがつて、本件異議にかかわる正当事由は、原告による右提供の申出により、補完され、具備されたものというべきであるから、本件賃貸借は、昭和六一年一月一日の前記期間の満了に伴い、終了するに至つたものといわなければならない。

4  そうすると、原告の本訴請求中、建物収去土地明渡しに関する部分は、被告に対し、一億八〇〇〇万円の支払いと引換えに、本件建物を収去し、本件土地を明け渡すことを求める限度で理由があり、認容すべきであるが、その余は理由がないものとして棄却を免れないというべきである。

二(差額賃料等支払請求について)

1  請求原因(四)の事実は、原告がした各賃料増額請求の効果に関する主張部分を除き、当事者間に争いがないところ、前記鑑定の結果に弁論の全趣旨を総合すると、本件土地の価格及びこれに対する公租公課、並びに比隣の賃料、更には一般消費者物価等も昭和三四年以降逐次上昇し続けたこと、したがつて、このような経済事情の変動により、原告の各増額請求の時点において、それまでの本件土地賃料はいずれも不相当に低額に帰していたことが認められるから、右各増額請求に基づき、原告主張のそれぞれの日以降の右賃料はおのおの相当額に改定されたものということができる。

2  そこで、右各改定額について検討するに、右鑑定の結果及び弁論の全趣旨に加えて、本件賃貸借の経緯、その他本件にかかわる諸般の事情をも斟酌すると、別表(一)の⑤欄記載の昭和四〇年、同四三年、同五一年及び同五三年の各増額請求に基づき改定された賃料の額としては、それぞれ少なくとも原告主張の金額をもつてこれにあたるものと認めるのが相当であり、また、同表同欄記載の昭和五四年、同五六年及び同五七年の各増額請求については、いずれも被告の供託金額をもつて、各改定賃料の額に符合するものと認めるのが相当である。

3  そうすると、被告において支払いの責に任ずべき差額賃料(賃料残額)は、昭和四一年一月一日から同五三年八月末日までの分の総計一二九万三七〇〇円となるから、原告の本訴請求中、右差額賃料等の支払いに関する部分は、右一二九万三七〇〇円と、そのうちの各年ごとの合計額に相当する別表(二)「元金」欄の(1)ないし(13)記載にかかる各金額について、それぞれその弁済期経過後の翌年一月一日から完済まで借地法一二条所定年一割の割合による利息金の支払いを求める限度で理由があり、認容すべきであるが、その余は理由がないものとして棄却を免れないというべきである。

三(結論)

よつて、以上判示したところに従つて原告の本訴請求の各一部をそれぞれ認容又は棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条、仮執行の宣言につき同法一九六条を各適用し、なお、原告の仮執行宣言の申立てのうち、主文第一、第四項に関する部分は不相当と認めてこれを却下することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官尾方 滋)

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